(ペーパーバック版158頁、Kindle電子書籍版)2022
家庭裁判所を舞台にしたファンタジー小説。
裁判所の家事部後見係で働くことになった後見沢サチ子は、成年後見制度の申し立てを受け付ける開始係に配属された。初日からサチ子は不思議な現象に出会う。申立書のファイルに記載された内容が、まるで白昼夢のように映像化されて見えるようになった。幻視と幻聴に最初は驚いたサチ子だが、その映像や音声が自分の仕事に役立つことを知る。
サチ子が担当するのは、まず郵送されてきた申立書のファイルの中身が揃っているかを確認すること。その後個人情報を入力し、書記官に内容の概略をわかりやすく整理したメモを付記したチェック表をつけて、そのファイルを書記官に引き継ぐこと。「新件立件」業務だ。不思議な現象によって、申立書に記されていない課題を「魔法の付箋」としてメモすることで、サチ子は周囲に評価されていく。