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五島列島のクロスマーク

五島列島のクロスマーク【ミステリー風小説】
(ペーパーバック版153頁、Kindle電子書籍版)2023
ヨーロッパを舞台とする「佐田芳雄」シリーズ3部作の続編、または番外編。
佐田芳雄の娘、奈緒子と結婚した澤田龍太郎が話者となって、五島列島に隠された佐田芳雄の謎に迫る。ヨーロッパ勤務から十数年ぶりに帰国した佐田芳雄は、六本木で義理の息子である龍太郎と酌み交わし、彼の望みを龍太郎に託す。
佐田芳雄は大学4年生のときに母親の出身地である五島列島を訪れていた。その記録をもとに、澤田龍太郎は妻の奈緒子と娘の青夏を連れて、五島に向かう。

苦楽園口

苦楽園口【10人が主人公の小説】
(ペーパーバック版167頁、Kindle電子書籍版)2022
10人が主人公として登場する、小さな駅を舞台にした小説。
始発駅から終着駅までを、3両連結のマルーンカラーの電車が5分で結ぶ。この苦楽園口で電車に乗り降りする人々の、ふつうの人生、ふつうの日常。高齢者も多いが、若い世代や子どもたちもいる。その一人ひとりの日常が苦楽園口駅を交点にして、少しずつ繋がり、少しずつ交錯する。97年前にできたこの駅を舞台に、10人の男女それぞれがいつの間にか関係している。本人たちは気づかなくても、すれ違いや出会いを重ねて繋がっていく。日常が互いに重なるとき、新しい人間模様がそこに存在する。

家裁後見係・後見沢サチ子

家裁後見係・後見沢サチ子【ファンタジー小説】
(ペーパーバック版158頁、Kindle電子書籍版)2022
家庭裁判所を舞台にしたファンタジー小説。
裁判所の家事部後見係で働くことになった後見沢サチ子は、成年後見制度の申し立てを受け付ける開始係に配属された。初日からサチ子は不思議な現象に出会う。申立書のファイルに記載された内容が、まるで白昼夢のように映像化されて見えるようになった。幻視と幻聴に最初は驚いたサチ子だが、その映像や音声が自分の仕事に役立つことを知る。
サチ子が担当するのは、まず郵送されてきた申立書のファイルの中身が揃っているかを確認すること。その後個人情報を入力し、書記官に内容の概略をわかりやすく整理したメモを付記したチェック表をつけて、そのファイルを書記官に引き継ぐこと。「新件立件」業務だ。不思議な現象によって、申立書に記されていない課題を「魔法の付箋」としてメモすることで、サチ子は周囲に評価されていく。

「セブンティーン」

セブンティーン【青春恋愛小説】
(ペーパーバック版163頁、Kindle電子書籍版)2021
中学2年生で始まる、淡い恋の物語。
2年1組になって、初めて由美に会った。彼女は教室でいつも隣の席にいた。印象的な最初の記憶は、僕が好きなパンを食べようとすると、拳でぐしゃっとつぶす彼女。いたずら好きで明るい中学生だった。彼女の笑顔の源は目の下にある涙袋だ。笑うと少し歯グキが出ることさえも魅力に感じられた。
由美が胸ポケットから出した匂袋を僕は鼻先に差し出したときは、くらくらと舞い上がった。授業中に由美が何をしているのかを盗み見ると、初めてはいたストッキングの自分の脚を、スカートをたくし上げて見ていた。目が合ってもニコリと微笑むだけ。
そんなに仲良くなったクラスメートの女の子は初めてだった。離ればなれになった2人のリモートラブ。そして再会までの物語。

「60歳の公務員」

60歳の公務員 退職後の手続き、転職後にやること、初めての公務員の日常【ノンフィクション】
(ペーパーバック版105頁、Kindle電子書籍版)2021
私は会社を定年退職後、初めて国家公務員になりました。臨時的任用の半年間だけの経験ですが、裁判所の事務官。会社を退職後に行った手続き、転職後にやった手続き、そして公務員の日常を図解をしながら記録しました。
■採用通知(9月16日)
■書類到着(9月18日)
■健康診断と健康保険(9月30日)
■登庁初日(10月1日)
■一週間(10月8日)
■給料日(10月16日)
■雇用保険(10月22日)
■確定拠出年金(10月23日)
■二か月目の給料(11月18日)
■ボーナス支給(12月10日)
■高年齢継続雇用給付金申請(12月28日)
■緊急事態宣言(1月7日)
■ハローワーク(1月19日)
■確定申告(1月30日)
■職員との会話
■再就職活動(2月8日)
■最終出勤日(3月22日)
■裁判所に愛をこめて

「ドゥブロヴニクの黄金」

ドゥブロヴニクの黄金【ミステリー風小説】
(ペーパーバック版165頁、Kindle電子書籍版)2021
ヨーロッパを舞台とする「佐田芳雄」シリーズ、第3弾。
「トゥールーズの密使」「ヴェネツィアの遺言」の続編に当たる。
 パリに住む調査会社の支社長・佐田芳雄は、妻・香織とクロアチアを訪れる。佐田の祖先であるヴェネツィア貴族の遺言執行を受けるにあたって、確かめておきたいことがあったからだ。ひと月前に事故死した長窪庸一が残した調査内容をもとに、佐田自身の謎と香織が密かに持ち続けていた秘密が、次第に明らかになっていく。前2作の完結篇と言える。
今回は佐田の妻、香織が話者となっている。三作は佐田芳雄の周辺にいる三人の女性がそれぞれに見た、一連の出来事が描かれていることになる。

「ヴェネツィアの遺言」

ヴェネツィアの遺言【ミステリー風小説】
(ペーパーバック版180頁、Kindle電子書籍版)2020

ヨーロッパを舞台とする「佐田芳雄」シリーズ第2弾。
この小説は、「トゥールーズの密使」の続篇に当たる。 「ヴェネツィアの遺言」では、「トゥールーズの密使」に登場する人物が重なって登場する。「トゥールーズの密使」では、調査会社のパリ支局長・佐田芳雄の娘、奈緒子が話者だ。この「ヴェネツィアの遺言」では佐田芳雄の大学時代のクラスメートの娘であり、佐田が働く調査会社と密接な関係がある、在仏日本大使館の書記官・山本早苗が話者となっている。
早苗にとっては、パリの日本大使館に勤め始めてから初めての休暇だった。彼女がヴェネツィアを前回訪れたのは16年前、11歳のときだった。その年に父が書いたという紀行文を最近入手した早苗は、それを読みながらヴェネツィアに到着する。 

「トゥールーズの密使」

トゥールーズの密使【ミステリー風小説】
(ペーパーバック版227頁、Kindle電子書籍版)2019
著者初の「ミステリー」風の小説。ヨーロッパを舞台にする「佐田芳雄シリーズ」第1弾。
大学の准教授、奈緒子が恋人とともに過ごす夏季休暇に入ろうとした直前、母・香織から連絡が入る。パリの情報調査会社で働く父・芳雄のもとを訪れていた香織から、パリに来て欲しいというメッセージだった。芳雄は部分的に記憶を失っていた。その原因が南西フランスのトゥールーズで連絡が取れなかった3か月間にあると判明。奈緒子は通訳をする大使館嘱託職員、長窪とともにトゥールーズに赴く。 奈緒子が真相を追究するために手にしていたのは、芳雄が香織に託したメモ帳の暗号めいた幾つかのキーワードと、芳雄が昔読んだ「マルタン・ゲールの帰還」という本だった。その本は、米国人歴史学者が著した、16世紀南西フランスで起こった奇妙な「偽亭主」詐欺師の事件を扱ったものだった。

「マイコ」

マイコ 阪神大しんさいものがたり【児童文学】
(ペーパーバック版96頁、Kindle電子書籍版)2020
マイコは、サトルが通う「さくら坂園」の年長組に入ってきた、同じマンションに住みはじめた女の子です。九州から引っこしてきた、おかっぱ頭のマイコは、少し変わった女の子でした。
やがてサトルのそばにはいつもマイコがいるようになります。運動会、音楽会など、何かあるごとに、サトルは「アホやなあ、サトルくんは」とマイコから言われます。ウリボウを見に行ったことをきっかけに、2人のおかあさんどうしも仲良くなります。
1995年1月17日の朝、神戸の町は大きなじしんにおそわれました。その日から、2人と家族のひなん所生活が始まります。小学校の体育館での日々です。はじめはやさしくいたわりあって協力し合ったおとなたちの気持ちが、長いひなん生活やそれぞれのひがいの大きさによって、ささくれだつようになりました。

「エリー桜通信」

エリー桜通信【恋愛小説】
(ペーパーバック版305頁、Kindle電子書籍版)2018
「純愛」「妄想」「LINE」小説。
僕とエリーが初めてデートしたのは、僕が地元横浜の県立高校3年生、彼女が同じ高校の1年生の3月だった。国立大学の試験が終わった次の日曜日、僕が大学生になれるかどうか分からないタイミングだ。可憐で美しい少女だったエリーに、もし自分が大学に入れたら交際して欲しいと願ったが、それはかなわなかった。それ以来何度か彼女との接点はあったが、彼女は僕に関心を持つことはなかった。
ある日、僕のスマートフォンのLINEアプリに、エリーが突然現れる。たぶん返信もくれないだろうと思いながらも「元気?」と一言入れた。それが僕とエリーとの会話の始まりだった。LINEというオンライン上のコミュニケーションに関わらず、僕とエリーは強く繋がっていく。エリーが体調を崩してから、ようやく自分で起き上がろうとした時期だった。

「ナヲミ」トウキョウ篇

ナヲミ ヤツと過ごした80年代 ③トウキョウ篇【長編恋愛小説】
(ペーパーバック版219頁、Kindle電子書籍版)2015
「ナヲミ」3部作、第3篇。
トウキョウに移り住んだナヲミと会う機会はなかなか作れない。1986年の初夏は、韓国・台湾、沖縄への船旅に出た時にチェルノブイリの原子力発電所の事故を知る。同じ年に通い始めたコピーライター養成講座で、他の生徒の情熱を感じるなか自分自身の可能性を探る。千葉の友人宅では、同じように泊まりに来ていた同年の女性との出会いを楽しむ。そして久しぶりに彼女に会ったのはダイカンヤマでのほんのひとときだった。
私のアパートで2日間か3日間、一緒に過ごしたい。そう言って電話をしてきたナヲはどこか精神的に不安定な部分を感じさせた。ディズニーランドに行って、駅前のおでん屋でお酒を飲んで、銭湯の帰り道で震えながら一緒に過ごそう。そう言ってきたナヲがこれからどう生き、僕がそれにどう関わっていくのか。僕はさまざまに思いを巡らせる。

「ナヲミ」オオサカ篇

ナヲミ ヤツと過ごした80年代 ②オオサカ篇【長編恋愛小説】
(ペーパーバック版174頁、Kindle電子書籍版)2015
「ナヲミ」3部作、第2篇。
1983年春、アズミノでナヲミを見失った「僕」は、会社生活という新たな時期に突入する。新入社員の研修漬けの日々が始まり、工場での実習のためにクサツの独身寮に住み始める。ネットも携帯電話もない時代、ナヲミとの手紙のやり取りが再開する。
ナヲミは大学4年生になり卒業に向けて悩みながらも、僕にさまざまな興味深い話をし、僕はそれで元気になる。僕たちは多くの興味を共有できる、どこかが似ていた。やがて手紙の向こうでは、彼女の恋愛騒動が起こる。混乱した文面の次に、暫くすると新たな恋人と将来に向かって歩き出すことを報告する内容の手紙。

「ナヲミ」コウベ篇

ナヲミ ヤツと過ごした80年代 ①コウベ篇【長編恋愛小説】
(ペーパーバック版181頁、Kindle電子書籍版)2015
「ナヲミ」3部作・第1篇。
1981年夏、「僕」は北海道3週間の旅の途中でナヲミに出会った。同年代の学生たちと知り合ったなかで、旅先で一番気になったのが彼女だ。「僕」の手紙を契機として、2人は手紙の交換を始める。インターネットも携帯電話もない時代だった。
彼女は環境デザイン専攻の学生で電話もない一人暮らし。「僕」はふつうの文系学生だが関西に住む。手紙のやり取りは互いの独白のようなものだったが、彼女の書く手紙に「僕」は次第に惹かれていく。半年後の再会で、「僕」にとっては手紙だけでは知り得なかった彼女の新しい面を知り、その外見にも惹かれていく。遠く離れた大学に通う彼女には、同級生の恋人がいた。

「神戸下町物語」

神戸下町物語【ノンフィクション】
(ペーパーバック版327頁、Kindle電子書籍版)2022
ここに登場する話は、俺が小学生だった頃のことだ。俺が小学生だったのは、1960年代半ばから1970年代初め。俺の周囲にはさまざまな出来事があった。
日本の「夏」の時代。世界が歴史を形づくっていた時代だ。あの頃はそんな社会変動に殆ど気づかず、いつまでも小学生でいるつもりだった。
友だちや先生や店の名前など、個人を特定するものは仮名としたが、これらの文章はすべて実際の出来事だ。2006年から08年にSNS上で書いていた文章を、ほぼそのまま転載した。神戸の下町で、俺はその時代にこんなふうに過ごしていた。

「リスク‐ヘッジ」

リスク‐ヘッジ【ビジネス小説】
(ペーパーバック版140頁、Kindle電子書籍版)2017
マスコミ業界3部作・第3弾。
巨大企業フォーチュンで広報部長に着任した山根康介は、新しく買った手帳に日誌を書き綴り、日々の記録を残していく。新聞社や放送局との付き合いも初めて、同僚たちに助けられながら次第に仕事に慣れはじめたころ、社内に激震が走る。
フォーチュンはもともと大阪・道修町を創業の地とする医薬品から始まった企業だが、技術力を生かして日用品や事務用品を製造している。数年前に電機業界5位の東光電機を買収し、販路や海外戦略を共有していまや5兆円企業となった。その東光電機に関係する良くない知らせだった。 東光電機出身の技術担当・戸山専務、マーケティングと経営企画を担当する山路常務、山根の上司であり社長室長でもある海野執行役員が中心になって、対策本部が立ち上がる。

「オール‐ラッシュ」

オール‐ラッシュ【ビジネス小説】
(ペーパーバック版115頁、Kindle電子書籍版)2016
マスコミ業界3部作・第2弾
東京・恵比寿の放送局に勤める長谷(イチタロウ)は、局内で「社会派」と呼ばれるドラマ番組制作者。フランスでのドラマロケでゴールデンウィークを潰した彼は、帰国早々に上司から新たな仕事を命じられる。それは彼がよく知っている知人のエッセイスト・安東葉子が書いた小説のドラマ化だという。1995年、阪神大震災に遭った幼稚園児たちが、大人たちとの絆をつくりながら元気を取り戻す物語だ。

「スタンド‐イン」

スタンド‐イン【ビジネス小説】
(ペーパーバック版155頁、Kindle電子書籍版)2016
マスコミ業界3部作・第1弾。
東京・天現寺に住むミサは29歳。昼はモデルの仕事をし、夜は銀座のクラブで働いている。仕事の大半は、有名女優がCMなどでスタジオ撮影するときの、演出リハーサルのためのモデル。 ミサは東京近郊の県立進学校から国立大学の文学部を出て、化粧品会社に勤めた始めた。新人配属された百貨店での接客の仕事は、女性だけの職場ならではの軋轢が強かった。その店での人間関係のこじれが原因で仕事を辞め、今は昼のモデル、夜のアルバイトという二つの仕事をしている。昼の仕事では、さまざまな女優に出会うことを楽しんでいる。 リハーサルに立ち会うモデルであるため、ミサの身長や体型はそこに出演する女優たちとほぼ等身大。

「南京紀行」

南京紀行 1989年の中国一人旅【紀行文】
(Kindle電子書籍版)
1989年正月、私は中国に二度目の一人旅をした。一年前に上海で出会った中国人青年と、漢字を並べただけの拙い手紙のやり取りで、南京で会う約束をした。言葉の通じない当時の中国で、28歳だった私は悪戦苦闘をしながら南京まで辿り着く。そこに待っていたのは、一年ぶりの彼の姿と、初めて会う彼の従妹の笑顔だった。

「沢木耕太郎と歩く・与那国紀行」

沢木耕太郎と歩く 写真で綴るマカオ紀行
与那国紀行【紀行文】

(ペーパーバック版127頁、Kindle電子書籍版)2021
一度しか会っていない沢木耕太郎氏の名前を冠した作品にしたことで、表題は誤解を与えるかも知れない。私にとっては「〇〇と歩く」というのは、その人物に対する畏敬とともに、共に歩くような気持ちで描いた紀行文だ。
私は20代の頃から紀行文を書き続けてきたが、それは日本国内であったり、中国や東南アジアであったり、北米やヨーロッパの国々についてのものだった。それらの幾つかは「〇〇と歩く」という文章群となっている。
マカオは彼の小説とノンフィクションの舞台、与那国は彼の若い頃のノンフィクションの地。この2作は、作家・沢木耕太郎氏への強い畏敬の念を持って書かれたものである。

「東南アジア紀行」

東南アジア紀行 1990年の香港・ベトナム・タイ一人旅【紀行文】
(Kindle電子書籍版)
30歳の誕生日に、私は香港に旅立った。当時はベトナムへの直行便はなく、私の目的地はホーチミンだったが、タイ経由のベトナム行き。香港に立ち寄ることができた。宿も定めず無計画に歩いた香港は魅力的で、友人とも再会を果たす。タイのバンコク、ベトナムのホーチミンへと足を進め、私はドイツ人とベトナム人の良き友を得る。

「ドイツ英国紀行」

ドイツ英国紀行 1997年の出張街歩き【紀行文】
(Kindle電子書籍版)
この物語は1997年、私が37歳の時に出張したドイツと英国での記憶の断片だ。出張の主目的は、当時「ベルリンショウ」と呼ばれていた展示会の視察、そしてドイツと英国で始まろうとしていた「地上デジタル放送」の状況を把握するためだった。
職場のトップが若手や中堅社員に、見聞を広めるために比較的自由な出張をさせてくれた。もちろん取材内容は別に記録が残っているが、この文章ではその合間に過ごしたドイツと英国の街歩きを記録することにした。
ビールを飲み、街を歩く。それだけでヨーロッパの空気を吸い込んだ気がした。ベルリン、ワイマール、ゾースト、デュッセルドルフ、ロンドン。それらの街角の記憶。今は亡き当時の上司に捧げたい。

「安藤昌益と歩く・シャクシャインと歩く」

安藤昌益と歩く(2014年八戸大館卒論紀行)・シャクシャインと歩く【紀行文】
(ペーパーバック版103頁・Kindle電子書籍版)
「安藤昌益と歩く」は、八戸と大館という安藤昌益ゆかりの地を出張で訪れたことに発する紀行文である。大学の卒業論文のテーマとして安藤昌益を選んだ私は、論文提出の直後に昌益の墓参りをする。それ以来、安藤昌益に関係する地を訪れることなく30年以上が過ぎていた。八戸市と大館市という、安藤昌益が生きた東北の中都市を続けて訪れる仕事が入ったのも、偶然とは思えなかった。
「シャクシャインと歩く」は、アイヌの英傑と呼ばれた指導者シャクシャインへの憧憬とも呼べる感情を、文章にした。北海道新ひだか町静内という場所にある「シベチャリのチャシ」には一度訪れたいと、学生の頃から思っていた。たまたま北海道を旅先とする友人たちとの会があり、その際に突如その思いが復活した。

「ヴァレッテと歩く」

ヴァレッテと歩く 写真で綴るマルタ紀行【紀行文】
(ペーパーバック版88頁・Kindle電子書籍版)2018
写真と文章で綴るマルタ共和国の紀行。僕たちの日々を読む方にとってはマルタの観光案内に、16世紀の出来事を読む進める方にとってはマルタがもっとも激しい時代を生きた頃の歴史案内になるだろうと思います。
16世紀に最盛期を迎えたオスマン帝国は、この因縁の相手を倒すことでマルタ島を手に入れ、シチリアからイタリア半島を窺おうとしました。この包囲戦がもしオスマン側の勝利に終わっていたとしたら、その後のヨーロッパ世界が大きく変わったかも知れません。その包囲戦を最後まで戦い抜いた聖ヨハネ騎士団長の名は、ヴァレッテ。

「マルタン‐ゲールと歩く」

マルタン‐ゲールと歩く 写真で綴るトゥールーズ紀行【紀行文】
(ペーパーバック版137頁・Kindle 電子書籍版)2022/12
南西フランス、オクシタニア地方の都市トゥールーズを訪れる。僕にとってトゥールーズから想起するのは、16世紀の「マルタン‐ゲール事件」とその事件が裁かれた「トゥールーズ高等法院」だ。「どうしてトゥールーズに行くのか」あるいは「何があるからトゥールーズなんてところに何日も行ってきたのか」と問われた、その回答をこの文章で示そうと思う。そしてずっと以前、そして16世紀から残る光景や現在のこの町を、確かめたいと思った。